本日の農林水産委員会で、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について審議⛴️わたくしも質問に立たせていただきました🎤
kazu1の痛ましい事故等を受けての法改正。遊漁船業の安全管理体制の強化などが図られることになります。
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議事録
第211回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 令和5年5月25日
安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
早速ですが、法案について質問させていただきます。
まず、立法事実について確認をさせていただきます。
近年、遊漁船の事故による死傷者が増加傾向にあることが法改正の必要性として指摘を、説明をされているところでもございます。実際の近年の死傷者数の推移とその増加要因に関する政府の御認識について確認をさせていただきます。
政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
遊漁船業の事故の状況につきましては、過去十年間の事故による死傷者数は計三百九十三人、うち死者数は六十人となっており、特にこの五年間で年間の死傷者数が増加傾向にあります。
内容といたしましては、見張りの不十分などによるほかの船との衝突事故が多く、平成二十八年の十五件から令和二年には二十九件と増加傾向にあります。これは、遊漁船業は魚の捕れやすい漁場に複数の船が集まりやすいことから衝突事故の可能性も高くなる性質があること、さらに、近年は、先ほども出ておりましたけれども、新規に遊漁船業者の登録を受ける者が増え、経験不足の者が増加していることが主な要因であると考えています。
このような状況を踏まえ、事故を減らしていくため、本法案におきましては、遊漁船業主任者の乗船の義務化、遊漁船業者の登録制度の厳格化など、利用者の安全確保を強化する措置を講ずることとしております。
安江伸夫君 KAZUⅠの悲惨な、本当に痛ましい事故を受けての改正でもありますけれども、今御指摘をいただいたこの立法事実、これにしっかり対応した改正であるということで確認をさせていただきました。
続きまして、先ほど来も出ておりますけれども、遵守の状況が不良な者の判断について、私からも確認をさせていただきたいと思います。
今回の改正案で、登録の更新時に、法律の規定等の遵守の状況が不良な者については登録の更新の有効期間を五年から、四年以内の期間に短縮をされるということになっております。
具体的には、政令で定める期間になるというふうに法案には書かれておりますけれども、衆議院の審議でもありましたとおり、また先ほどの田名部委員の質問に対する御答弁にもありましたが、遵守の状況が不良な者については、具体的には業務改善命令や業務停止命令を受けた者がこれに当たるというふうに答弁されておりますが、それ以外の者は想定をされているか、されているとすればどのような場合か、また遵守状況の不良の程度とこの登録有効期間の短縮の幅についてはどういった関連付けがなされるのか、またこれらの運用の指針や基準も示すべきというふうに考えておりますので、これらの点について改めて御答弁お願いします。
政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
御質問いただきました登録期間の短縮の対象となる者につきましては政令で定めることとしており、委員御指摘の業務改善命令や事業停止命令を受けた者を想定しておりますが、それ以外にどのような者を対象とすべきか、また、それぞれの者についてどの程度の短縮の幅にするのかにつきましては、現場や有識者の声も踏まえつつ、公平かつ明確なものとなるよう検討しているところでございます。
安江伸夫君 今答弁にあったとおり、公平かつ明確なものになるということが重要な点かというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
続きまして、改正法四条、六条の関係で、業務規程の内容についても確認をさせていただきます。
先ほども出ておりますけれども、遊漁船業者の安全管理体制を強化すること等を目的として、業務の実施方法を定めた業務規程を登録の申請書に添付することが今回義務付けられるということであります。
その規程の内容が実質的な安全性の確保に資するものでなければ、言うまでもありませんが、この規程の申請時のチェックはもちろんのこと、やはりその登録後において当該規程に沿った運営がなされていくかもチェックしていくということが本来望ましいというふうにも考えております。こうした体制も構築をしていくべきというふうに考えております。あわせまして、登録の更新時においても、この業務規程の遵守の状況は、先ほども質問いたしました遵守状況の不良性の判断に当たっても重要なメルクマールとこれはなるべきというふうにも考えているところでございます。
御答弁お願いします。
政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、遊漁船業の安全性向上に向けましては、業務規程に記載した内容に沿った運営が継続されることが不可欠であると考えております。このため、本法案におきまして、これまでは登録後に一度届ければよかった業務規程につきまして、登録時においても、さらに更新時においても提出しなければならないこととし、安全に関する記載事項が一定の基準に適合しない場合には登録更新できないようにすること、それから、事業者が利用者に対し業務規程のうち安全に関する事項について公表を義務付け、利用者の目も活用して安全な営業の継続を促進することといった措置を講ずることとしております。
また、事業者に対する指導監督を担う都道府県に対しまして業務規程の模範例ですとか業務の実施状況の把握に関するガイドラインをお示しして、その内容を共有することにより業務規程に沿った運営がされているか確認がしやすい環境を整えてまいりたいと考えております。
安江伸夫君 ありがとうございました。
遊漁船の事業者は大体一万三千事業者あるということで、それ全てを常に管理、監視していくということはなかなか困難であるということも理解をするところであります。その意味におきましても、今御答弁いただいた内容をまずはしっかりと実行していただきたいと思いますし、時には抜き打ちで抽出してしっかりやっているかということもチェックすることなども是非御検討いただきたいと思います。
続きまして、遊漁船業務主任者の義務に関連して確認をさせていただきます。
今回の改正によって、遊漁船業務主任者が遊漁船に乗り組んで業務を行うこと及び利用者が瀬渡しにより遊漁船外で釣りを行う場合も含めて利用者の安全管理を行うことが明確化をされるということになっておりますが、この点に関連をして、改正法の十三条一項では、新たに、遊漁船業務主任者は誠実にその職務を行わなければならないことと、また同条二項には、遊漁船業務主任者のその職務を行う上での意見を尊重しなければならないということも明定されたところでありますが、これらの意義について確認をいたします。
政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
遊漁船業の営業について最終的に責任を負う者は遊漁船業者でございますけれども、遊漁船業務主任者は、利用者の安全確保や漁場の安定利用の確保等の重要な役割を担っていること、地域の気象、海象、操船の経験や知識なども有していることから、現場の状況に応じた安全管理体制の構築に向け、今回の法案におきまして、その責任の大きさを明確にする観点から、遊漁船業務主任者について職務を誠実に行う義務を明確にするとともに、利用者の安全確保などに関し遊漁船業務主任者の意見を遊漁船業者は尊重する義務を明確にすることとしたところでございます。
このことにより、各遊漁船業者におきまして、現場の意見が十分に反映され、これまで以上に利用者の安全性や適切な業務運営が確保されるものになると考えております。
安江伸夫君 大変大切な改正のポイントかなというふうに思います。実際に乗り組んで現場を見ている人がきちっと安全の管理をしていく、当たり前のことが法律上しっかりと明記をされたというふうに理解をさせていただきました。
続きまして、改正法の十九条の関係で確認をさせていただきます。
この改正法十九条では、重大な事故についての届出が義務付けられることとなり、具体的には省令でその重大な事故を定義するということになっておりますが、どういった場合を想定されておられるのかを確認させていただくとともに、届け出なければならない重大な事故と誰が判断をすることになるかも併せて御答弁ください。
政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
今回の法改正により都道府県知事への報告が義務付けられる重大な事故といたしましては、遊漁船の衝突、乗り上げのほか、沈没や火災、死亡者や行方不明者を出した事故などについても対象とする方向で検討しています。また、この報告は事業者が行うこととなりますが、事業者が判断に迷わないように、報告対象となる事故につきましては、客観的に判断できるよう省令で明確に定めていきたいと考えております。
安江伸夫君 客観的に判断できるように明確にということで確認をさせていただきました。
続きまして、改正法の二十三条の関係で、利用者の安全及び利益に関する情報について確認をさせていただきます。
今回の改正によって、遊漁船業者に対して、利用者の安全を確保するために講じた措置等の情報の公表が義務付けられることとなります。公表の具体的な方法につきましては農林水産省令で定めるところによるとされておりまして、衆議院の審議におきましても、デジタル化の取組がこの点重要であるという旨の答弁もあったと承知をしております。
他方で、遊漁船業者の事業者の九割が一隻の遊漁船で営む小規模事業者でありますし、また、ウェブサイトを持っていない事業者も現実的にはいるわけでございまして、このような場合、どういった形での情報公表を想定をしておられるのか、また、そうした事業者への支援も丁寧にやるべきと考えますが、この点について確認をさせてください。
政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
本法案におきまして、利用者が利用する遊漁船を安全の観点から選択できるようにするために、遊漁船業者に対しまして、利用者の安全などに関する情報の公表を義務付けることとしております。これらの情報につきましては、利用者が遊漁船の選定に際して入手できることが必要であると考えております。
公表の手段につきましては、インターネットなどによる公表が有効な手段と考えておりますが、事業者がそれぞれ可能な手段で取り組めるよう、具体的な公表の方法につきましては、今後、現場や有識者の声も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
安江伸夫君 ありがとうございました。
先ほど山本委員からも質問ありましたけれども、やはりこの協議会の重要性ということも確認をしておきたいというふうに思います。
今回、二十八条の内容で協議会の設置が、必要的でありませんけれども、任意で設置ができるということで規定をされることとなります。その在り方については、やはり地域の自主性を尊重しながらも、国としても、都道府県等、地元の求めに応じた丁寧なサポート、これを体制をしっかり取っていただきたいということと、やはり先進的で有効な事例や、またそうしたものの情報共有などを積極的に行っていくということも重要かと考えます。
御答弁お願いします。
政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
今回の改正案で創設する協議会につきましては、都道府県知事の主導の下、遊漁船業の健全な発展を図るため、遊漁船業者、漁業者などの地域の関係者が集まりまして、利用者の安全確保や漁場の安定的利用の取組につきまして協議を行うことにより遊漁船業の適正化を図る役割を担うものでありますことから、協議会制度が円滑に設置、運営されていくことが重要であると考えております。
このため、農林水産省といたしましても、各地域における自主的な取組を促す観点から、協議会の運営に当たっての規約例の提示、海面利用協議会と連携した取組の推進、優良な取組の横展開など、都道府県が円滑に協議会制度を運営していくための必要なサポートについても検討してまいります。
安江伸夫君 続いて、遊漁船の衝突事故の防止に関連して確認をさせていただきます。
船同士の衝突事故、接触事故、こうしたものを防止していくことも極めて重要と考えます。元々この法律の制定の端緒も大型遊漁船と海上自衛隊の潜水艦との衝突事故にあったというふうにも確認をさせていただいたところでもあります。現時点も、遊漁船の死傷者を伴う事故の種類別の割合で一番多いのもこの衝突ということであります。この際、先ほども確認しましたけれども、業務規程において、周囲への見張りを強化するなど、接触事故等を防止するための事項をしっかりと定めていくべきと考えます。
また、関連しまして、今年の三月七日に神奈川県の三浦市の沖合で、航行中の遊漁船が鯨らしき物体との衝突によって釣り人など乗船していた方がけがを負って病院に搬送されたという報道も目にしたところでございます。船だけではなく、こうした大型の自然動物との接触ということもこの際防止を徹底していくべきと考えます。
御答弁お願いします。
政府参考人(神谷崇君) 現行の業務規程の模範例におきまして事故発生防止のための留意点を明記しておりますが、遊漁船業において見張り不十分などによる衝突を始めとする事故が多い状況を踏まえまして、更に規定すべきことがあるか検討してまいります。
また、委員から御指摘の報道は、本年三月七日の神奈川県三浦市の沖合での鯨との、鯨らしき物体との衝突でございますが、現在、海上保安庁が事故原因の調査を行っているものと認識しております。
海難事故の対応につきましては、現行の業務規程の模範例においては主として船舶との衝突を念頭に対応を定めておりますが、今回の事故原因の調査も踏まえまして、特別な対応が必要かどうかも検討してまいります。
安江伸夫君 よく分析、検討をお願いしたいというふうに思います。
続きまして、中間取りまとめにおける指摘事項を何点か確認をさせていただきたいと思います。
先ほどもありました損害賠償の措置の基準について確認をさせていただきますが、今回の中間取りまとめでは、利用者の利益の保護をより一層図っていく観点から、現行の損害賠償責任保険の加入額の見直し等、利用者の保護に資するより適切な措置を講ずる必要性が指摘をされているところでございます。
現行は定員一人当たりこの限度額が三千万円以上のものになっているということでありますけれども、やはり陸の、車の交通事故を取ってみても、やはり任意保険でありますけれども、対人無制限で入っているものも多数でありますし、また乗り合いバスなど、こうしたほかの乗り物の事故の関係で見ても、やはり相対的にこの金額自体低いものかなというふうにも思っております。あってはいけませんけれども、死亡事故なども起こったときには、この三千万円以上という基準ではなかなか賠償には不十分であるということも現実であります。
この中間取りまとめでの指摘事項についての政府の受け止めと今後の対応方針につきまして、ここは藤木政務官にお答えをいただきたいと思います。
大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
昨年十二月の遊漁船業の在り方に関する検討会の中間取りまとめにおいては、御指摘のとおり、損害賠償責任保険の基準の見直しについて記載されたところでございます。損害賠償責任保険への加入は利用者の利益の保護のための重要なものと考えており、そのため十分な保険金額の保険への加入が求められております。
現行では、委員御指摘のとおり、定員一人当たりの填補限度額が三千万円以上の保険、共済への加入を遊漁船業者に義務付けておりますが、この金額を幾らにすることが適当かについて、現場や有識者等の意見を伺いながら検討してまいりたいと思います。
補足になりますけれども、先ほど鯨との衝突というお話がございましたが、私も小型船舶の運転をたまに行います。木の枝でも操縦者からなかなか見えない中で、やはり水面と同じ高さに障害物があるというのは、本当に、運転をする側も怖いんですけれども、やむを得ないところが非常に大きいなというふうにも思いますので、その辺の御理解はいただければと思います。
安江伸夫君 ありがとうございました。
もう一つ、中間取りまとめにおける指摘事項、乗船時の利用者への安全に関する説明について勝俣副大臣に確認をさせていただきますが、中間取りまとめでは、利用者の中には釣り初心者や小さい子供もいるために、利用者の不注意等で思わぬ事故が発生する可能性があるとされておりまして、乗船時に、乗船のときに利用者に対して遊漁船業務主任者から安全に関する事前の説明を行うなど、利用者に対して安全に関する注意を促すことを乗船時のプロセスとして位置付ける必要性があると指摘をされております。
乗船時のプロセスをマニュアル化をして、それを遵守させる仕組みをつくっていただきたいと思います。御答弁お願いいたします。
副大臣(勝俣孝明君) 安江委員御指摘のとおり、乗船時に利用者に対し安全に関する説明を行うことは重要であると考えております。
このため、現在、農林水産省としましては、業務規程の規範例の中で安全の確保のために利用者が遵守すべき事項について示すとともに、これらの事業者が利用者に周知するよう、都道府県から指導しているところであります。
さらに、本法案において、業務規程を登録申請の際に提出させ、安全に関する記載事項が一定の基準に適合できない、適合しない場合には登録できないようにする措置を講じておりますが、この業務規程を審査する中で、乗船時のプロセスも含めて、安全の確保のために利用者が遵守すべき事項とその周知の方法について明記されているかを確認するよう、都道府県に必要な提案、助言を行ってまいります。
安江伸夫君 ありがとうございました。
最後に、大臣、端的で大丈夫でございますので御答弁いただければと思いますが、遊漁船業の安全性確保に関する分かりやすい情報発信も指摘されております。是非、これを踏まえての発信をお願いいたします。
国務大臣(野村哲郎君) 私どもも、この安全性の確保というのがもう最大の今回の法改正の焦点でございまして、いろんな処置を講ずるに当たりましては、これが分かりやすく利用者の安全確保に直接つながるような情報発信を都道府県が行えるように、国が市町村に、国が県に対しましてガイドラインを作成して示して、そして必要な助言を行っていきたいと、こんなふうに思っているところでございます。
また、水産庁のホームページの遊漁の部屋においても、これまで安全対策等について利用者の安全性確保のためのパンフレット等を作成、公表し、情報発信に努めてまいりましたが、今後は都道府県の公表する情報を一元的に確認できるようにするなど、更なる情報発信に努めてまいりたいと、かように思っているところでございます。
それから、余計なことなんですが、このちょうど法案審議のときに私の鹿児島でやっぱり船舶の事故が起こりまして、昨日、十四人が乗った船が火災を起こしまして、十四人全員助かったんですけれども、やはりこれは人ごとではないなと、こんなふうに思っているところでございます。
安江伸夫君 終わります。