参議院 農林水産委員会で、違法伐採に係る木材の流通等を防ぐ「クリーンウッド法」の改正案を審議致しました。
木材の輸入等に関わる水際・川上の木材関連事業者に、新たに、合法性の確認を義務づけることなどを内容とする改正になっています。
違法伐採を抑止し、環境保護や、木材の価格安定をはかることを目的に💪
わたくしも、公明党を代表して質問いたしました📃
事業者の負担軽減や、利便性の高いシステムの構築、登録事業者の裾野拡大、国産材の需要喚起などについて質問いたしました。いずれも前向きな答弁をいただきました🌳
この際、ぜひ、「クリーンウッド」の考え方について知っていただき、そうした木材の利活用の推進にご協力ください🙏
議事録
第211回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 令和5年4月25日
安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
法案の質問に先立ちまして、先ほども少し出ておりましたけれども、G7宮崎農業大臣会合について大臣にお伺いをさせていただきます。
さきのこの農水委員会でも、大臣のリーダーシップで大成功をとお願いをさせていただいたところでもございます。その成果について、端的で結構ですので、大臣からお答えいただければと思います。
国務大臣(野村哲郎君) 去る二十二日、それから二十三日に宮崎県で開催されましたG7農業大臣会合におきましては、これは食料の安全保障をテーマに議論を行いました。
この食料の安全保障につきましては二つありまして、農業の生産性向上と持続可能性を両立させるなどの方向性を閣僚声明で発出することができました。ただ、やっぱりびっくりしましたのは、どこもやっぱり、この気象の変動、それからウクライナ戦争、こういったことでどの国もこの食料の安全保障ということについては大変関心が高かったということだけは御報告できると思います。
したがって、その内容については、先ほど言いました二つのことで、農業生産性向上と持続可能性の両立をさせると、こういったようなことで閣僚声明に出したところでございます。
もう一つは、この食料需給が大きく変化する中で、食料安全保障に関する新たな方針を確認できたと、このG7の農業大臣が足並みをそろえて示せた点で今回の会合は大変有意義だったと。
従来の国際会議の中では、この生産性向上というようなものにつきましては全く議論にならなかった。それは、輸出国があって、あるいは日本は輸入国でありますが、輸出国にとって余り生産性が向上すると輸出が伸びないという問題等がありまして、議論がかみ合わないということがありましたが、今回の場合はこの議論が完全にかみ合いました。だから、アメリカの、この農業大国と言われるアメリカであるとか、あるいはフランス、カナダ、こういったところも全てやはりこの生産性向上を上げていかないと、特に彼らが一番心配しておりましたのは、干ばつだとか、あるいは水害だとか、そしてまた、そういったような、とにかく、何といいますか、日本みたいに国土が狭いからと、そういう理由じゃないんですが、そういう今の環境変化等に伴うところの生産性が非常に下り坂といいますか、右肩下がりになってしまってきつつあるという危機感を皆さん持っておられまして、これは、そういう意味からも今回の会合は大変意味深くて、そして各閣僚とも同じ方向を向いて議論ができたというのは非常に良かったというふうに思っておりますので、閣僚声明で盛り込まれた方針を各国がこれからの実際の農業政策に反映をさせて、あるいは政策を実施していくことが私は重要だというふうに思ったところでございます。
安江伸夫君 大臣、ありがとうございました。
本当に重要なタイミングで行われた会合であったかなというふうに思います。今御答弁いただいたこともございますけれども、やはり各国結束して、しっかりとこの食料等の問題について取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げます。
それでは、法案の内容について質問をさせていただきます。
まず、先ほど来出ておりますけれども、令和十年度、これを合法性確認一〇〇%目指していくというお話もあったところでございますが、我が国の世界における立ち位置というものも確認をしておきたいと思います。
日本以外のG7各国の合法性確認に関する主な制度についてお伺いをします。
〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕
政府参考人(森重樹君) お答え申し上げます。
G7各国におきまして、木材等が法令に適合して伐採されたものであるか否かの確認に関する主な制度といたしましては、EUにおきましては、輸入事業者等の域内市場に木材等を最初に出荷する事業者に対しまして、当該木材等について違法伐採のリスクの確認等を行う義務が課されてございます。また、米国、アメリカでございますが、こちらでは木材等の輸出入や売買を行う事業者等に違法伐採木材を取り扱わないよう十分な注意を払う義務が課されているというふうに承知してございます。
安江伸夫君 ありがとうございました。
しっかりと世界に比肩する、G7に比肩するしっかりとした合法性確認、これを行うための改正だというふうには理解をさせていただいております。
〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕
その上で、国内外の違法伐採の実態についても簡単ですが確認しておきたいと思います。
近年の国内における違法伐採の実態について確認をさせていただくとともに、輸入材、木材の総需要に占める輸入材の割合について確認をし、また、輸入材に違法伐採に係る木材等が含まれている可能性についての御認識をお伺いしたいと思います。その上で、今回の改正によって、そうした違法伐採の可能性があるものに対してどういった効果を発揮することが期待されているんでしょうか。
政府参考人(織田央君) お答えいたします。
まず、国内の違法伐採の実態の関係でございますけれども、森林法におきましては、地域森林計画対象森林を伐採する際に、原則として伐採造林届出を提出をし、市町村森林整備計画に適合して伐採等を行うことが義務付けられております。これに違反をし、市町村による指導、勧告に従わず、最終的に市町村から命令が行われたというものが令和三年度には一件報告をされておるところでございます。
また、二つ目の我が国の木材輸入量については、木材需要量のうちの約六割を占めているという状況でございます。
それから、違法伐採に係る木材等がどの程度国内に輸入されているかにつきましては、この海外における違法伐採木材の実態に関する正確なデータというのは限られているところでございますけれども、国際森林研究機関連合、いわゆるIUFROというところの報告書によりますと、違法伐採木材の主な輸出地域は東南アジア、ロシア等とされております。我が国がそうした国々から木材等を輸入していることは事実でございますけれども、違法伐採された木材等がどれぐらい国内に輸入されているかについての正確なデータといいますか、データは把握をしてございません。
今般、改正法案におきましては、川上、水際の木材関連事業者に合法性の確認とその結果の伝達を義務付けることなどによりまして、このSDGsなど世界的な環境意識の高まりを背景としたこの川上、あっ、川下事業者ですとか消費者からの求めも相まって、市場に流通する木材等が徐々にこの合法性が確認された木材等にシフトしていくよう取組を推進することとしておりまして、その結果といたしまして、違法伐採木材等の流通は限りなく抑制されていくというふうに考えているところでございます。
安江伸夫君 本法案の意義について改めて確認をさせていただきました。
続きまして、ちょっと時間も余りありませんので端的にお伺いをいたしますけれども、いずれにしましても、今回の合法性の確認が義務付けられる事業者にとっては負担も増えるということでございます。この確認作業の負担の軽減、どのように行っていくのかを確認させてください。
政府参考人(織田央君) お答えいたします。
この義務付けを行う川上、水際の木材関連事業者のその負担軽減の観点でございますけれども、現行法の下で登録木材関連事業者が既に取り組んでいただいている合法性の確認等の手続、内容をまずはベースとするということ、それから、政府調達分野においてグリーン購入法の下で行われてきた合法性証明に関する手続について、クリーンウッド法上も活用できるように工夫をするなどによりまして、事業者の負担は必要最小限のものにする考えでございます。
その上で、その合法性確認の具体的な手続、方法をまとめた分かりやすいフローチャート、チェックリストを作成するですとか、あるいは事業者向けの説明会、研修会、あるいは相談受付体制の強化、こういったことも行いますほか、合法性の確認等に係る情報の受渡しですとか記録の保存等を電子的に行える使いやすいシステムを構築することなどによりまして、事業者が合法性の確認等に取り組みやすい環境を整備していきたいというふうに考えているところでございます。
安江伸夫君 今御答弁で指摘していただきましたシステムについてもお伺いしておきたいと思いますけれども、このシステムの導入によって事業者の負担が軽減されるとともに、将来的には是非これトレーサビリティーの確保にも役立つなど、利便性の高いシステムを構築していただくことをお願いしたいと思います。また、常にシステムの利用状況や利用者の声に応じ、使い勝手の良いものとなるように利用開始後も不断の見直し、改良をしていただきたいと思います。お願いいたします。
政府参考人(織田央君) お答えいたします。
このシステムの構築に当たりましては、木材関連事業者へのヒアリングを行うなど現場のニーズも聞きながら、改正法案の施行までに伐採造林届の写し等、合法性の確認に関する情報を電子的に取り込んだり、あるいは記録を保存したり、事業者間で伝達できる機能ですとか、あるいは事業者が定期報告を電子的に行える機能、こういったものを備えたようなシステムを整備していく考えでございます。
委員御指摘のトレーサビリティーへの活用につきましては今後の検討課題とさせていただきたいというふうに思っておりますが、いずれにしましても、このシステムにつきましては、構築後においてもこの利用状況をしっかり把握をしながら、必要に応じて機能の追加、改修を検討していくなど、利用者にとって使い勝手の良いシステムとなるよう努めていきたいというふうに考えているところでございます。
安江伸夫君 是非お願いしたいと思います。
先ほども出ておりましたけれども、今回の改正によって我が国における違法伐採に係る木材の流通等のおそれ、これを相当程度抑えていただくことをお願いしたいと思いますけれども、更にこれを徹底するためには、川中、川下における取組の強化、すなわち登録事業者の裾野の拡大、消費者の理解の醸成を図って、クリーンウッドであることを確認して購入、利用することが社会の当たり前にしていくことが重要かと考えております。
そのためにも、今回の改正によっては、合法性の確認が義務付けられていない小売事業者を含む木材関連事業者に対しては、まずこの制度をよく周知をしていただきたいと思いますし、また登録事業者となることのインセンティブを具体的に強化をしていただくことも重要と思っておりますし、また改正法の四条、この優良な取組を行っている事業者を公表するということもキャッチーな形で推進をしていくべきと考えております。お願いいたします。
政府参考人(森重樹君) お答え申し上げます。
今回の改正法に基づきまして、合法性の確認を適切に行うということ、また合法性確認木材等の利用を拡大していくということにおきましては、小売業者を含む川中、川下の木材関連事業者が合法性確認木材を求めていただくということ、また、こういった事業者が登録木材関連事業者となりまして合法性確認の情報を的確、確実に伝達していただくことが重要と考えてございます。
昨今のSDGsに対する環境意識の高まりなども踏まえまして、これまで以上にこういった事業者に制度の内容理解等、普及をしっかり進めてまいりたいと考えてございますし、また、予算上の、登録事業者に対する予算上の優遇措置を講じるなど、こういったことを通じて登録促進を図っていきたいと考えてございます。
安江伸夫君 ありがとうございます。
ちょっと時間の都合で要望にとどめますけれども、やはり消費者への周知啓発、先ほども出ておりましたけれども、しっかりとした強化をお願いしたいと思います。
最後の質問にさせていただきます。大臣に最後お伺いをさせていただきます。
我が国の木材はクリーンウッドであるということをPRしていく、国産材がクリーンウッドだということを是非確認をして、またPRをしていただきたいというふうに思っております。国内における国産材の需要喚起に是非この機を捉えてつなげていただきたいというふうに思っております。
野村大臣の御所見をお伺いします。
国務大臣(野村哲郎君) 今般の改正法案によりまして、川上、水際の木材関連事業者に対しても、国産材及び輸入材のいずれにしても合法性との確認が、これ初めてでありますが、義務付けられることになりました。
このうちの国産材につきましては、伐採造林届等を収集して確認を行えばいいわけでありますが、その伐採造林届等は素材生産販売事業者が求め、の求めに応じて提供しなければならないと、こういった義務を課したわけでありますが、合法性の確認はそういう意味では比較的に行えるものと考えております。
これにより、先ほどの国産材の利用が拡大しまして林業の復興にも資することになるというふうに思いますし、このため、農水省としては、クリーンウッド法の取組をしっかり推進するとともに、国産材の供給拡大に向けて、川上から川中、川下に至る施策を総合的に推進することにより、我が国の林業の振興に取り組んでまいりたいと思っております。
安江伸夫君 大臣、ありがとうございました。
今回の改正を機に、我が国のクリーンウッド、しっかりと徹底されることをお願いいたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。