緊急小口資金 使いやすく
貸し付け決定、13万件超
新型コロナウイルス感染拡大に伴う収入減など、さまざまな状況から生活上の困難が増している人を支援するため、厚生労働省の新型コロナ感染症対策推進本部に「『生活を守る』プロジェクトチーム(PT)」が発足し、きょうで1カ月を迎えた。稲津久厚労副大臣(公明党)がPTの主査を務める。切実な現場の声を聞き、課題解決へ汗を流す取り組みを追った。
手続きを簡素化動画案内始める
コロナ禍でアルバイト収入を失った大学生の千葉正弘さん(21)は、「(最大20万円が借りられる)緊急小口資金の案内がユーチューブで配信され、分かりやすい。友人にもすぐに知らせたい」と話す。この特例貸し付けの動画案内は、11日から始まった。8日に公明党青年委員会が同行し、千葉さんらが稲津副大臣に訴え、実現につながった。
アルバイト収入を生活の糧にしていた千葉さん。当座をしのぐ生活資金の支援が受けられないか調べたところ、無利子、保証人不要で融資を受けられる緊急小口資金が活用できることを知った。「動画などで案内すれば、もっと多くの人に知ってもらえるのに」(千葉さん)。友人たちも同意見だった。
千葉さんは、公明党の三浦信祐青年局長らにこのことを相談する機会を得た。8日には、三浦青年局長、安江伸夫学生局長、高瀬弘美同局顧問(いずれも参院議員)と共に厚労省に稲津副大臣を訪ね、「緊急小口資金を(動画サイトの)ユーチューブで発信してほしい」と申し入れた。
これに対し稲津副大臣は、生活に困っている人への情報提供を速やかに進める観点から、「ユーチューブを活用し、周知を図っていきたい」と返答。同日、開催された第2回PT会合で厚労省のホームページ、ツイッターに加え、ユーチューブへの動画配信が緊急に取り組む事項に加わった。
職場の「3密」対策、求職手続き電子化も
稲津副大臣は同日、美容師として働く村田真衣さんから、事業者による感染防止対策のさらなる強化を求められたのに対し、密閉、密集、密接の「3密」を避けるためのチェックリスト作成など「(事業者の)指導・監督を強化する」と力説。配送会社に勤める阿部正義さん(39)が求職手続きを簡便にするハローワーク電子化を訴えたのに対しては、「オンラインの相談体制づくりを進める」と語った。
PTは、生活困窮者の支援に取り組む団体とも精力的に意見交換を重ねてきた。
4月24日には、NPO法人「キッズドア」の渡辺由美子理事長、続いて27日には、認定NPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事など、15団体の代表らとオンラインなどで課題や要望を聞いた。
ここでのやり取りで、緊急小口資金については、「(世界同時不況を招いた)リーマンショック時よりも若い女性や大学生が相談に来ている」「若者が申請しようとしても、書類の書き方や添付書類が分からず敬遠するケースが多い」などの意見が寄せられた。
稲津副大臣は、これら現場の意見を踏まえ、緊急小口資金申請手続きの簡素化に取り組んできた。
見直しを進めた結果、申請件数はさらに増え続け、5月2日までに15万1385件の申請があり、貸付決定件数は13万848件、決定金額は223億1000万円に達した(速報値)。
1件当たりの平均貸付額は17万1000円で、当面の生活資金を必要とする人に役立てられている。
社会的に弱い立場の人 支援
厚労省「生活を守る」プロジェクトチーム主査 稲津久厚労副大臣(公明党)
PTでは、支援策の周知とともに、現場の状況を把握して課題を迅速に解決することに全力を挙げている。
コロナ禍で最も影響を受けているのは、社会的に弱い立場の人たちだ。困窮する学生や仕事を失った若者らにも支援が行き渡るよう、民間支援団体や自治体、文部科学省とも連携し、施策の拡充に努めている。
8日の第2回PT会合では、住まい確保、心のケア、ひとり親家庭支援、感染防止に配慮した介護・障がい者サービス提供についても、早急に取り組むことを確認した。
どの施策も日々の暮らしと密接に関わっている。現場で困っている人に“政治の光”を当てる公明党の副大臣として、支援の最前線に立つPTの推進役を全うしていきたい。