本日、参議院の「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」が開催されました。私も会派を代表して質疑に立ちました。
・鳥取県米子市の拉致被害の現場を視察しての林担当大臣の所見
・強制失踪条約の普遍化
・拉致問題解決に向けた今後の外交方針
について質疑いたしました。
被害者・ご家族ともにご高齢になり、問題解決には一刻の猶予もありません。
会派を超えて、認識を一にして、解決に向けて現実の前進ができるように、政府の取り組みを後押ししてまいります。
議事録
第216回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号 令和6年12月23日
安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
先ほど来お話が出ておりますが、拉致の被害者、御家族の皆様が御高齢になる中で、一刻も早い問題の解決をしていかなければならないと存じます。政府はもとより、立法府、国会の立場からも、本件について、やはり一致結束をして歩みを進めていかなければならない、このように思っております。
もっとも、先ほどもありましたが、二〇〇二年以来、一人の拉致被害者の帰国も実現をしていない厳しい状況を踏まえれば、これまでの取組の延長線上にはない具体的な次の一手、新たな一手が必要ではないか、こういった国民の皆様の声も聞こえてきているところでございます。北朝鮮への働きかけ、国際協調の強化、そして国内機運の醸成等、あらゆる角度から思い切った取組を求めたいと思います。
まず初めに、林大臣にお伺いをいたします。
大臣は、先月の二十四日に、鳥取県は米子市を訪れられまして、一九七七年、当時二十九歳、松本京子さんが拉致された現場を御視察をされたと承知をしております。松本さんのお兄さんらとも現場周辺を歩きながら、当時の様子の御説明も受けたとお伺いをいたしました。
切実な思いも含めて様々お話があったかと思いますが、改めて現地を訪れた大臣の思いや視察を受けての御所見があればお伺いできればと思います。
国務大臣(林芳正君) 今、安江委員から御指摘をいただいた視察でございますが、やはり自分の目で拉致現場を見て今後の取組に生かしていきたいと、そういう考えの下で、この米子市で国民のつどいが二十四日に開催されましたので、それに先立って松本京子さんの拉致現場を視察させていただいたところでございます。お兄様にもずっと付きっきりで解説をしていただきまして、いろんな場所の説明を本当に丁寧にしていただいて、また後ほどの会合にも出席してお話をいただいたところでございます。
横田さんの現場に行ったときもそうであったんですが、日本海の風景というのが、私も下関なものですから日本海側があります。そこが非常によく似ておりまして、海がすぐ近くにあって、砂浜があって、そして防砂林があって、道路があって、道路を越えて住宅街になると、まさにもうどこかで見た風景だなというのは、新潟もそうでありましたが、この米子でも同じようなことを考え、感じさせていただきました。
私もその、北浦というんですが、下関のその辺はですね、そこに昔、娘がちっちゃい頃に託児所というか預けていたことがあるんで、もしそういうことがあったとするとというようなことで、とても他人事ではない思いをしたところでございます。本当に自宅からすごい近い場所なんですね。ここで拉致されて御帰国がかなわない京子さんの心中、また一緒に来ていただいたお兄様の孟さんのお気持ち、本当に胸が締め付けられる思いでございます。
こうした思いを強く心にとどめて、引き続き、この全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでまいります。
安江伸夫君 大臣、ありがとうございます。
今の大臣のお話を伺いながら、その切実さを大臣自身も胸に深く刻まれたんだなということを感じた次第でございます。その思いを基にして、どうかこの問題の解決に向けての前進を引き続きお願いしたいと存じます。
続いての質問になりますが、若年層に対する広報啓発活動についてですが、この点につきましては、先ほど自見委員の方からしっかりと御質問をいただきました。私も思いは同じでございます。これを風化させないための、特に若い人への教育啓発活動、力を入れていただきたい。もう質問はいたしません。これはお願いに代えさせていただきたいと存じます。
三つ目の項目になります。
ここは外交に関してということでございます。国際協調、外交戦略という観点ですが、本年の十一月の十三日、国連人権理事会の作業部会が採択をした北朝鮮の人権状況に関する報告書におきまして、拉致問題の早期解決を含む二百九十四項目の勧告がなされたと承知をしております。この報告書では、拉致問題に取り組む国際協調の枠組みの一つとして、強制失踪条約が言及をされております。外務省も、同条約につきましては、拉致問題を含む強制失踪の問題への国際的な関心を高める上でも重要と位置付けております。
こうしたことを踏まえますと、この強制失踪条約の普遍化こそ拉致問題の解決に向けた国際協力に有効ではないかと考えておりますが、御所見を伺います。
政府参考人(松尾裕敬君) 御指摘いただきました強制失踪条約は、強制失踪を自国の刑事法上で犯罪化し処罰を確保することなどにより、このような犯罪が繰り返されないよう抑止することなどを目的としております。
現時点での締約国数は七十六か国にとどまっておりますけれども、北朝鮮による拉致のような問題が二度と起こらないよう世界規模で対応すべきとの観点から、我が国は強制失踪条約の普遍化に向け、国連人権理事会の普遍的・定期的レビュー、UPRの場などで各国に本条約の早期締結を求めてきております。さらに、国連総会においては、昨年十二月、本条約の締結の重要性を掲げる決議の共同提案国に加わるなど、本条約の普遍化を促進する努力を行っております。
我が国としては、拉致問題の早期解決に向け、より多くの国々の理解と支持を得るべく、引き続き働きかけを行っていく考えでございます。
安江伸夫君 今、普遍化に向けた努力を行っているという旨の答弁いただきました。引き続きのこの御努力、御尽力を重ねてお願いをさせていただきます。
最後の質問させていただきます。
今後の北朝鮮に対する外交戦略についてでございます。
岸田前総理は、今年の三月、実りある日朝関係、日朝双方の利益を言及をされた、掲げられたということで、北朝鮮側もこの点については注目をした、こんなような評があったと聞き及んでおります。こうした現状、膠着した現状を打開し、拉致問題を真に解決するためには、当然これは圧力一辺倒ではなく、あらゆる角度からの戦略的交渉が期待されているところもあるかと存じます。
その上で、対話のチャンネルを持たないことには解決に向けた前進すら見込めません。こうした今の点をできれば踏まえていただきまして、拉致問題解決に向けた今後の外交方針、答えられる限度でお願いしたいと思いますが、岩屋外務大臣にお伺いしたいと思います。
国務大臣(岩屋毅君) 基本的に、やはり対話と圧力ということなんだと思います。圧力というのは、例えば安保理決議に基づいた制裁なども行っておりますし、また、日韓、日米韓の連携、あるいは軍事演習を行ったりしておりますが、これは核、ミサイルの脅威に対する対処力、抑止力というものをしっかり保持していなければいけないという取組でございます。それと同時に、委員がおっしゃったように、やはり対話というものを求めていかなければいけないと考えておりまして、そのための様々な今努力を行っております。
一日も早くこれを実現させて、一刻も早く全拉致被害者の皆さんの御帰国につなげていけるように、これからも最大限の努力を続けてまいりたいと考えております。
安江伸夫君 被害者の方、また御家族の方、やっぱりこの一日千秋の思いで、一日でも早い解決をと強く強く願っていることかと思います。どうかどうか引き続きの御尽力、重ねてお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。