中間所得層の痛税感緩和を
日本若者協議会代表理事・室橋祐貴氏の話から
公明党青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)は、2月から政策課題を巡って若手有識者と意見交換する「深掘りユーストーク」を実施しています。同17日に行われた深掘りユーストークでの、室橋祐貴・日本若者協議会代表理事の話を紹介します。
ボイス・アクションは租税教育に有意義
今後、推進すべき若者向けの政策テーマとして、中間所得層への行政サービスの拡充が重要だと思っている。
そのためには税の再分配を強化する必要があるが、日本では痛税感が高いことがボトルネックになっている。日本の国民所得に占める租税負担の割合は、経済協力開発機構(OECD)諸国と比較して低い水準にある。ところが、日本の中間所得層に税負担について尋ねると、「あまりに高すぎる」「高すぎる」と答える割合が60%を超える。
これには二つの理由があると考えている。一つは税に対する理解が浅いことだ。租税教育が少なく、そもそも自分が払った税金が何に使われているのかがあまり理解されていない。実際は学校など、身の回りで税金は多く使われているが、そうした現実に即した租税教育が行われていないため、実態が知られていない。公明党青年委員会は政策アンケート「ボイス・アクション」を実施してきたが、「税金でどの行政サービスを充実させるべきか」を問うという意味で、租税教育の一環としても有意義だと思っている。
二つ目は納税者への直接的な還元が少なく、受益感が弱いことだ。日本においては家賃補助や育児手当などの福利厚生を企業が担ってきた。他の国では政府が出している部分を企業が負担してきたといえる。政府の家族関係支出(子育て支援のために支出される現金給付と現物給付)を対国内総生産(GDP)比で見ると、日本はフランスや英国の半分以下だ。現役世代の納税者にとっては「取られているだけ」という感覚が強くなる構造になっている。
福利厚生を提供する企業の余裕がなくなりつつあり、また、非正規雇用が増えているため、「企業からも政府からももらえない人」が増えている。政府がより直接的かつ普遍的な行政サービスを拡充させていくべきではないかと思っている。
奨学金返還の負担軽減が必要
可処分所得を増加させ、納税者への直接的な還元につながる政策として、無料通信環境の整備や奨学金の返還支援などが挙げられる。家庭でユーチューブを用いて学習する子どもが増えており、Wi―Fiの有無が教育格差に直結している。その観点からも通信環境の整備は重要だ。
大学の授業料はここ40年ほど、上がり続けている。一方で収入は減少傾向にある。30~34歳の男性を見ると、1997年では年収500万円台の人が最も多かったが、2017年では300万円台が最多だった。現役学生に対する親からの仕送りも減っており、奨学金の利用者がどんどん増えているので、負担軽減策が必要だろう。
若手研究者支援で要望受ける
党青年委と党文部科学部会(部会長=浮島智子衆院議員)は2月17日、参院議員会館で日本若者協議会(室橋祐貴代表理事)から若手研究者への支援を求める要望を受けました。
席上、室橋代表理事らは、日本の大学院博士課程の学生数が2003年度の約1万2000人から、19年度に約6000人まで半減している現状に触れ、「原因は経済的負担と将来的なキャリアパスの不透明さにある」と指摘。同協議会が実施したアンケートを基に、研究を継続できる環境整備を求めました。三浦信祐青年局長(参院議員)らは「皆さまの声をしっかりと受け止め、取り組んでいく」と応じました。