住宅の耐震改修 加速へ

拡充される耐震化支援

能登半島 地震の教訓踏まえ

昨年発生した能登半島地震では、1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅の倒壊が相次ぎ、多くの命が奪われた。こうした状況を踏まえ、国土交通省は、2024年度補正予算で耐震改修を進めやすくする支援策を強化している。公明党が推進した国の施策とともに、耐震改修などの相談に無料で応じる専門家を各家庭に派遣したりする鳥取県の「耐震ケースマネジメント」の取り組みを紹介する。

補助上限を引き上げ
国交省

拡充される耐震化支援

拡充される耐震化支援


能登半島地震では、石川県だけで10万棟以上の住宅が被害を受けた。国の有識者委員会の報告書によれば、高齢化率の高い珠洲市や輪島市では、耐震化率が50%程度と低く、全壊や半壊などの被害が大きかったという。

国は、30年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消する目標を掲げ、建て替えや壁に筋交いを入れるなどの耐震改修を促進してきた結果、08年に約79%(約3900万戸)だった全国の耐震化率は、23年に約90%(約5000万戸)まで向上した。ただ、約570万戸は耐震性が不十分なまま。高齢化が著しい地域では、古いまま住み続け、跡継ぎ不在や資金不足で、耐震改修をためらう高齢者は少なくない。

耐震化の加速へ、国交省は24年度補正予算において、市区町村を通じて行われる「住宅・建築物耐震改修事業」の補助限度額を引き上げた。

例えば、戸別訪問などにより、耐震改修促進に取り組む自治体での補助限度額は、一戸建て住宅で100万円から115万円に引き上げる。耐震設計と改修工事を一体的に行うケースが想定されている。

融資の無利子化など、高齢者向け支援充実

また、24年度補正予算を活用し、「リバースモーゲージ」型の高齢者向け耐震改修融資の無・低利子化も実施する。住宅や土地を担保に融資を受け、生前は利子を支払うだけで済み、亡くなった後の売却で一括返済する仕組みだ。

手元に資金なくても

70歳以上で申請した場合は利子の全額を国が補助。60歳代では、利子の3分の2を軽減する「低利子型」か、60歳代での利子を自己負担とし70歳以降の利子を全額補助する「無利子型」が選択できる。国交省の担当者は「手元に資金がなくても耐震改修が可能となる。住宅を相続する予定のない人にはぜひ活用を検討してもらいたい」と話す。協力が得られた金融機関を窓口に順次、受け付けが始まる。

鳥取県の“ケースマネジメント”
専門家が訪問し無料相談

住宅耐震改修を着実に進めるには、財政的支援に加え、住民一人一人への働き掛けも欠かせない。耐震化率を85%(21年度)から92%(25年度末)まで引き上げる目標を掲げる鳥取県では、国の「住宅・建築物耐震改修事業」などを利用した耐震化を促進しようと、昨年6月から「耐震ケースマネジメント」を開始し、相談内容に応じた専門家を自宅に派遣する事業を実施している。公明党県議団が後押ししてきた。

対象は、耐震基準がより強化された00年6月1日より前に着工された木造2階建て以下の一戸建て住宅の所有者。希望者の自宅を建築士やファイナンシャルプランナーなどの専門家が訪問し、具体的な改修方法や資金計画について無料で相談に応じる。

「診断」1.6倍に

さらに、県内の7市町では、建築技術者や自治体職員が戸別訪問を実施し、支援制度の周知を図る「プッシュ型」の支援を展開。住人の改修の“悩み”などに丁寧に寄り添う。これまでに約500戸で耐震化に関する相談が寄せられ、「支援制度自体を知らなかった」「まずは診断してみたい」などの反応があったという。

県住宅政策課は「戸別訪問による相談受け付けの結果、耐震診断の申請が前年の1.6倍に増加し、意識向上につながっている」と説明する。

公明の訴えが具体化

党国土交通部会長 安江のぶお参院議員

能登半島地震の被災地では、高齢化が進む過疎地ほど耐震改修が進んでおらず、家屋倒壊が相次いだ。南海トラフや首都直下など大地震が切迫する中、命を守るための耐震化が急務になっている。

そこで公明党が、耐震化加速への施策実行を国会質疑などで繰り返し政府に求めた結果、今回の補助限度額引き上げや高齢者向け支援の充実につながった。

この事業は、市区町村を通じて行われる。党のネットワークを生かし、好事例を“横展開”するなど、自治体の取り組みを積極的に後押ししていく決意だ。

(住宅の耐震改修)能登半島地震の教訓踏まえ加速へ

公明党ニュース:https://www.komei.or.jp/komeinews/p402995/

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