昨日、参議院農林水産委員会で、ブルーカーボンについて質問。
公明党は、よこやま信一参議院議員を先頭に、ブルーカーボンの利活用をいち早く推進しております💪
豊かな海を守り、カーボンニュートラルを実現するうえで大変重要な取組みです🌊
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議事録
第211回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 令和5年4月13日
安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。質問の機会をいただき、ありがとうございます。
冒頭、四月の二十二日、二十三日に開催をされますG7宮崎農業大臣会合について、野村大臣にお伺いをします。
〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕
二〇二二年二月に始まったロシアによるウクライナ侵略が穀物価格や資材価格の上昇を引き起こしており、食料の安定供給や食料安全保障の確保が世界的な課題となっていることを踏まえれば、このタイミングで宮崎農業大臣会合が開催される意義は非常に大きいものと考えております。今回の会合を絶好の機会と捉えて、食料安全保障、とりわけ持続可能な農業、持続可能な農業を世界各国の連帯の下で推し進めていくというメッセージを世界に向けて発信をしていただきたいと思います。
また、開催地の宮崎県でG7関係閣僚会合が開催されるのは実に二十三年ぶりというふうにも伺っております。各国の方々を最高のおもてなしでお迎えをし、宮崎を始め九州、そして日本の魅力を世界に発信をしていただきたいと思います。
農業大臣会合成功に向けては、野村大臣のリーダーシップに期待するところが大であります。開催まであと九日となった今、G7宮崎農業大臣会合でどのような成果を得ようとされておられるのか、また成功に向けた大臣の御決意をお伺いします。
国務大臣(野村哲郎君) 今委員から御指摘がありましたように、いよいよ今月の二十二日からこのG7の農業大臣会合が開かれるということで、今大変事務方はばたばたして、ばたばたというのは失礼な言い方ですが、大変精力的に今詰めております。
そこで、私どもが各国に、七か国に申し上げておりますのは、やはり食料の安全保障を主要テーマにしたいということで御了解をいただいておりますので、このことを中心にやっぱり議論をしていきたいというふうに思っておりまして、七か国の農業大臣と議論を深めた上で、一つは農業の生産性向上、それからもう一つは持続可能な、の両立を、持続可能性の両立を実現させる、これが大きなテーマになってくると、こんなふうに思っているところでございまして、これは今後の世界各国の農業生産の在り方についてターニングポイントになる、得るというメッセージになると思っておりまして、いずれにしろ、G7各国大臣の意見をよく聞いた上で議論を進めていく考えでございまして、今その準備に事務方の皆さん方は大わらわでございまして、しっかりとした発信をさせていただきたいと思っております。
安江伸夫君 大臣、ありがとうございました。
ターニングポイントとなるという位置付けで、大変強い意気込みを感じたところでございます。是非大成功させていただきたいというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。
今日は、以下、ブルーカーボンを中心にお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。本日は、農水省さんのみならず、国交省、環境省からも政府参考人の方に御足労いただき、ありがとうございます。
さて、ブルーカーボンとは、二〇〇九年の国連環境計画の報告書におきまして、藻場、浅場等の海洋生態系に取り込まれた炭素がブルーカーボンと命名をされ、吸収源の新しい選択肢として提示をされたものです。このブルーカーボンを推進をしていくことは、地球温暖化対策ということだけではなくて、海草や海藻の藻場をしっかりと育んでいくことを通じ、海洋生態系、海洋資源の保全、海の多様性など海の豊かさを守っていくことにもつながります。
四方を海に囲まれ、海岸線の長さも世界第六位の我が国にとってはCO2の吸収源として大きなポテンシャルがあることから、我が党といたしましても、昨年の一月に、横山信一参議院議員を座長として、ブルーカーボン利活用推進プロジェクトチームを立ち上げております。私もその事務局長を務めさせていただいておりまして、同PTの下でこれまでも会合や現地視察等を行うとともに、昨年の八月には、農水省、環境省、国交省、そして文科省に対して、このブルーカーボンの活用を推進する地球温暖化対策等の提言も行わせていただいております。
その上で、現在、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、政府においては、ブルーカーボンについて、国連に提出する我が国の排出・吸収量目録、インベントリーへの掲載を目標に、ブルーカーボン生態系からの排出・吸収量の算定に向けた検討が続けられているものと承知をしております。
環境省にお伺いします。
昨年三月、参議院の予算委員会の審議において、我が党の横山参議院議員の質疑に対して、最速で二〇二三年に提出するインベントリーに掲載することを目指して取組を進めているとの御答弁がありました。我が党の提言でもこの点強く求めているところでございますが、その進捗について確認をさせていただきます。
政府参考人(角倉一郎君) お答え申し上げます。
環境省におきましては、マングローブ林やアマモ場といった、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収量を我が国の温室効果ガスインベントリーに計上できるように関係省庁と検討を進めてきたところでございます。
こうした中で、必要なデータや算定方法の学術的裏付け等ができたマングローブ林のCO2吸収量について、第一弾として、今月中を目途に国連の気候変動枠組条約事務局に報告することを予定しております。また、本年一月からは、国土交通省や農林水産省に呼びかけ、関係省庁連絡会議を立ち上げたところでございまして、政府一体となったブルーカーボン生態系に関する取組を進めております。
今後、マングローブ林以外のアマモ場等の海草につきましても、国連の気候変動枠組条約事務局に報告することを目指し、関係省庁連絡会議等を活用しつつ、CO2吸収、固定量の評価を進めてまいりたいと考えております。
安江伸夫君 ありがとうございました。マングローブについてはまずはよかったかなというふうに思っております。引き続き、政府一体となった取組ということをいただきましたので、推進をしていただきたいと思います。
〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕
続いて、国交省さんにもお伺いをさせていただきます。
ブルーカーボンのインベントリーへの追加を加速化するためには、CO2吸収量の算定に必要な体制構築が急務でございます。政府におきましては、日本全国のブルーカーボン生態系の分布を把握をし、CO2の吸収量を算定するためのデータアーカイブの構築が検討されていると承知をしておりますが、この検討状況と運用の見通しについてお伺いします。
政府参考人(遠藤仁彦君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、ブルーカーボン生態系によるCO2吸収量をインベントリーに計上するためには、我が国の沿岸域におけるCO2吸収量の測定やその計測データのデータベース化を進めることが必要であります。
このため、国土交通省では、令和六年度の完成を目指し、ドローン等を活用しブルーカーボン生態系を上空から高精度に把握するとともに、取得したデータをリアルタイムでデータベースに集約するシステムの開発を令和四年度より行っているところでございます。本年度におきましては、試作したドローンを用いて現地の藻場等を的確に計測できるかなどの検証作業等を行う予定にしてございます。
引き続き、ブルーカーボン生態系のCO2吸収量の把握に向けた環境整備に関係省庁とも連携しながらしっかり取り組んでまいります。
安江伸夫君 ありがとうございました。令和六年度までの見通しについて確認をさせていただきましたが、今いろんな様々な、ドローンを使っての最新の技術駆使していただいていることも御説明いただきましたけども、更にその先も見据えながら、令和六年度もすぐ参りますので、しっかりとその成果を踏まえながら、次の展開も力強く推進をしていただきたいことをお願いしたいと思います。
続きまして、農水省にお伺いをさせていただきます。
令和四年の三月に閣議決定をされました水産基本計画において、漁村活性化とカーボンニュートラルへの対応という観点から、藻場、干潟等の保全を図ることが掲げられております。その中で、ブルーカーボンの重要性についても触れていただいております。
先ほど指摘させていただきましたが、藻場、干潟等の保全は、炭素の貯留のみならずに、水産資源の保全や海の豊かさを守ることにもつながるという観点から、農水省、水産庁においてもしっかりと取り組んでいくべきテーマであると考えております。
まず、農水省におきまして、ブルーカーボン、これをどのように位置付けておられるのかをお伺いします。
政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
農林水産省におきましては、令和三年五月に策定いたしましたみどりの食料システム戦略におきまして、カーボンニュートラルの推進に向け、海藻類による二酸化炭素の固定化の推進、実効性のある藻場、干潟の保全、創造を位置付けたところでございます。
また、委員からも御指摘ございましたように、令和四年三月に策定いたしました水産基本計画におきましては、藻場は二酸化炭素の吸収源としてカーボンニュートラルの実現の観点からも重要であることから、効果的な藻場、干潟の保全、創造を図る必要があると位置付けております。
安江伸夫君 ありがとうございました。非常に重要な位置付けを持って、農水省、水産庁の下でもしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
その上で、ちょっと具体的な取組状況についても水産庁に確認をさせていただきたいと思います。
水産庁においては、これまで、藻場、干潟の保全等対策につきまして、水産基盤整備事業でまずはハード面での支援、また水産多面的機能発揮対策事業でソフト面の支援を中心に行っているものと承知をしております。
後者の水産多面的機能発揮対策事業では、藻場のいそ焼け対策やサンゴ礁の保全、干潟、ヨシ帯の保全などを行う漁業者等の取組を支援する事業と承知をしておりますけれども、その事業目標としては、令和七年度までに対象水域での生物量を二〇%増加をさせるということが掲げられております。
このような藻場、干潟の保全等に向けた事業の成果、また水産多面的機能発揮対策事業のその目標達成に向けた進捗状況についてお伺いします。
政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、水産庁といたしましては、藻場、干潟の保全対策といたしまして、水産基盤整備事業及び水産多面的機能発揮事業、ハード、ソフト両面から対応しておりますが、これらの成果といたしまして、平成二十八年度から令和三年度までの五年間でおよそ七千八百ヘクタールの藻場、干潟を保全、創造しております。
特に、水産多面的機能発揮事業にありましては、令和二年度までの取組の成果といたしまして、平成二十八年度に対する対象水域内の生物増加量は目標値と同程度である二〇・三%でありまして、現在は令和三年度を基準に更に二〇%の増加を五年間の成果目標としているところであり、引き続き目標達成に向けて取り組んでまいります。
安江伸夫君 着実に成果を上げていただいていることを確認させていただきました。
これらの事業につきましては、もちろん水産業の振興が主たる目的であることは言うまでもありませんけれども、やはり、海こそやはり地球温暖化の影響を大きく受ける場だというふうに思っております。環境問題は公益性の高いものとして、更なる内容の充実、推進に力を注いでいただくことをお願いしたいと思います。
さて、私の地元、愛知県の三河湾では、以前からアマモ場の再生の取組が行われておりまして、漁業関係者だけではなくて、小学生や水産高校の生徒らが一緒になって、アマモの種の植付けなどの再生活動を行っております。
このような取組は全国各地で行われております。例えば、兵庫県の兵庫運河では、汚染が深刻化した運河の自然再生に地域の方々が取り組み、小学校もその活動に加わって、アマモの学習、干潟の生き物調べなど、子供たちの学習環境の機会にもなっております。こうした取組は環境問題を入口とした海への関心を高め、水産業の担い手確保と育成にもつながっていくものと期待をされます。また、兵庫運河の取組はJブルークレジットとして認証もされており、企業等とのクレジット取引も行われているところでございます。
このほかにも、横浜市も同様の取組を行っていたり、また、同僚の下野議員の福岡県博多湾には、これJブルークレジットではないんですけれども、カーボンオフクレジット制度が行われるなど、様々な自治体等でもこのクレジット利用されておりまして、こうした企業の参画のインセンティブを高めていくことも重要であるというふうに考えております。
あるいは、藻場、干潟の維持管理には、海草や海藻の供給、ウニなどの除去、造成した藻場のモニタリングなど、継続的な取組が必要でありまして、これまで主体的な役割を果たしてきた漁業者だけではなくて、地域住民、NPO法人等の多様な主体が連携をしていくことが不可欠であると考えております。ブルーカーボン推進のためには、漁業者や地域の方々など多様な主体が一体となった取組が広く継続的に行えるようにすべきでありますし、我が党もこうした観点での支援を訴えてまいりました。一つの手段としても、先ほど御紹介したカーボンクレジット制度の取組を活性化していくことも重要と考えます。
以上を踏まえまして、国交省と農水省、それぞれに見解をお伺いしたいと思います。
政府参考人(遠藤仁彦君) お答え申し上げます。
国土交通省では、命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクトを昨年末からスタートをしてございまして、全国の港湾で、藻場や干潟等のブルーカーボン生態系の拡大に向けた取組を進めているところでございます。藻場や干潟等の保全、再生、創出に当たりましては、多様な主体が協力し、担い手の活動が持続可能なものにする必要があることから、Jブルークレジットの活用促進や、NPO等の環境団体、漁業関係者、ブルーカーボンに関心のある企業、港湾管理者等が一体となって取り組みやすくするための支援等を行ってまいります。
国土交通省といたしましても、引き続き、関係省庁や港湾管理者等とも連携をし、ブルーカーボン生態系の拡大に向けてしっかり取り組んでまいります。
政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
藻場の保全活動に当たりましては、既に委員からも御紹介がありましたように、ダイビングショップ、地元水族館、小学生や大学生などの多様な主体の参加による活動が各地で行われております。
農林水産省といたしましては、この動きを加速化していくために、昨年三月に閣議決定されました漁港漁場整備長期計画において、企業による社会貢献の取組など様々な活動にも働きかけを行い、藻場保全の取組を一層強化していくと位置付け、今後、企業の参画による連携の強化も推進していくこととしたところでございます。こうした多様な主体による活動を推進するために、ハード、ソフト一体的な取組を支援することとしております。
引き続き、関係省庁とも連携し、多様な主体の参画による藻場などの保全を通じ、ブルーカーボンの推進に努めてまいります。
安江伸夫君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
続きまして、藻場のタイプに応じたブルーカーボンの貯留量を的確に算定できるようにするとともに、海草、海藻の新たな利活用の可能性を探るなど、そのポテンシャルを最大限に発揮できる研究開発、これを支援すべきというふうにお願いをしたいというふうに思います。藻場の回復、造成に向けた手法の研究、これも進めていただきたいと思いますし、産官学の連携も重要と考えております。
この点、既に農水省の下で、二〇二一年度から、ブルーカーボンの評価手法及び効率的藻場形成、拡大技術の開発を行っているものと承知をしております。その研究の進捗状況を確認をさせていただくとともに、ブルーカーボンに関する研究、藻場の造成技術の開発に向けた更なる取組を体制整備と併せて強化をしていくべきと考えております。
農水省の御所見をお伺いします。
政府参考人(川合豊彦君) お答えいたします。
農林水産省では、委員御質問のブルーカーボンの評価手法と効率的藻場形成、拡大技術の開発プロジェクトを実施しております。ブルーカーボンにつきましては、国際的に未確立であります海草、藻場の二酸化炭素貯留量の評価手法を開発しているところであります。現在、IPCCガイドラインに準拠しまして、藻場の種類や海域ごとに二酸化炭素の貯留量の算定を進めているところでありまして、評価モデル式が確立され次第、科学者の議論に資するよう論文化を進めることとしております。
また、藻場の造成技術につきましては、全国十一か所におきまして、県の水産試験研究機関などと連携しまして、地域に応じた効果的な藻場形成、拡大技術の開発を進めております。
農林水産省ではみどりの食料システム戦略を推進しておりまして、引き続きブルーカーボンの研究にしっかり取り組んでまいります。
安江伸夫君 どうか引き続きの取組を進めていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。
最後、大臣にお伺いをさせていただきます。
ブルーカーボンの推進は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた重要な要素であり、豊かな生態系の維持や水産資源の保護にもつながります。こうした多様かつ重要な価値を有するこのブルーカーボンの利活用を農水省としても更に積極的に推進をしていくべきものと考えております。
ブルーカーボンに対する野村大臣の御認識とその推進に向けた決意を伺いたいと思います。
国務大臣(野村哲郎君) ブルーカーボンは、二酸化炭素の吸収源として委員おっしゃるように世界的に注目を集めておりますが、その基盤となる藻場は、水産生物の産卵場やあるいは育成の場として大変重要であるという認識をいたしております。
農水省としては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現及び豊かな水産環境の保全に向けまして、引き続き、関係省庁と連携しながら、藻場の保全あるいは創造の積極的な取組を通じたブルーカーボンの推進に努めてまいりたいと思っております。
安江伸夫君 大臣、力強い御答弁、ありがとうございました。
繰り返しになりますけれども、ブルーカーボン、海業をしっかりと振興していく、子供たちの興味をしっかりと集め、担い手を確保していく、また地球温暖化をしっかり防止をしていく、こうした重要な意義があります。どうか引き続き強力に推進をしていただきますことをお願いをさせていただき、私の質問を終わります。
ありがとうございました。