参議院憲法審査会で意見陳述

参議院の憲法審査会

参議院の憲法審査会において、緊急集会等について意見陳述を行いました。現在、衆議院を中心に、緊急事態への対応のひとつとして、議員の任期延長が議論に。
「良識の府」参議院としても緊急事態の際の課題についてしっかりと議論してまいります。
発言の動画はコチラ⬇️

議事録

第211回国会 参議院 憲法審査会 第2号 令和5年4月12日

安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
 現在、衆議院の憲法審査会において、緊急事態に関する論点整理が進み、とりわけ議員の任期延長に関する議論が詰められている状況にあります。
 我々参議院としては、こうした衆議院の議論を踏まえつつも、それに過度に引きずられることなく、一つ一つの議論を整理していくことが重要と考えます。すなわち、緊急事態における現行憲法下での課題は何か、問題への対応として議員の任期延長等の憲法改正まで要するのかといった事柄について丁寧な議論が必要なことは言うまでもありません。仮に我々が衆議院の論議を追随するようなことがあっては、それこそ参議院は不要との議論にもつながり得るのであり、まさにこの憲法審査会での審議を通じて良識の府としての矜持を示し、責任を果たすべきものと考えます。
 さて、参議院法制局から緊急集会をめぐる論点が説明されているところです。まずは、これらの論点の一部についての意見を述べます。
 第一に、任期満了による総選挙の場合の緊急集会の可否についてですが、肯定的に捉えることに理があるものと考えます。確かに文理上は衆議院が解散されたときと明記してあります。しかし、かといって、任期満了に伴って衆議院が不存在となり、かつ何らかの事情で選挙を行うことができない場合において、その必要性があるのに緊急集会を行わないとすれば、国会の機能が停止してしまいます。もし仮にそうだとすれば、長谷部恭男先生が指摘されるように、内閣が緊急事態の法理に依拠するなどして単独で必要な措置を講じる事態を招きかねないという懸念も生じ、それこそ憲法が想定しない事態ともいうべきではないでしょうか。
 緊急集会は、まさに衆議院の不存在の状況において、緊急の必要があるときに国会の機能を維持して民主的な統制を維持するために設けられたものであり、任期満了の際も開会できると解するべきではないでしょうか。
 第二に、緊急集会が開くことができる期間についても議論があります。文理上、衆議院解散・総選挙を経て特別会が召集されるまでの最長七十日間とも読めますが、第一の論点でも言及したように、緊急集会が衆議院の不存在という緊急事態において国会の機能を維持することに意義があると理解する立場からは、緊急の必要が継続する限り開催できると理解することが妥当ではないでしょうか。もっとも、緊急集会が二院制の例外中の例外であることから、あくまでもその機能は暫定的なものであり、可及的速やかに総選挙を実施し、原則の状態に復帰させることが憲法上の要請であることは言うまでもありません。
 第三に、これは問題提起にとどまりますが、参議院の緊急集会の権限の範囲を憲法論としてどのように捉えるべきでしょうか。議員の任期延長の議論も、これをどう捉えるかによって結論が異なってくるものと考えております。すなわち、文理上は緊急集会の開会は内閣が求めることになっていることに加えて、臨時会と異なって、議員による招集の要求もできません。また、緊急集会があくまで二院制の例外として暫定的な機能であることにも鑑みれば、国会と同等の権限を認めることは困難ではないかとの議論があるところです。
 この点、現行の国会法九十九条一項が緊急集会は総理が案件を示して請求することとし、同法百一条や百二条は緊急集会で議員が発議できる案件や請願は総理が示した案件に関連あるものに限るとしています。こうした規定が、こうした規律が憲法上の要請であって、法改正等によってもその範囲を拡大できないとすれば、どういった問題が考えられるでしょうか。とりわけこの点についての議論を本審査会において深めることができればと考えております。
 このほか、本日のテーマではないため別の機会に譲りますが、仮に衆議院議員の任期延長を論ずるとしても、参議院議員の任期延長はどういうことになるかということも論点整理されるべきです。参議院の半数が任期満了を迎えつつ、何らかの事情で選挙ができない場合も理論上は想定され、例えば衆議院及び参議院の半数が存在する状態をどう考えるべきでしょうか。
 また、緊急事態の対応の一つに緊急政令、緊急財産処分に類する規定の要否が論じられるところですが、我が党といたしましては、消極の立場を取ります。明治憲法から現在の憲法になった際、民主的統制を強化するために旧来の緊急勅令や緊急財産処分の規定はなくなり、言わばその代替として参議院の緊急集会の制度が創設された経緯などを踏まえますと、緊急政令等の規定の憲法としての許容性には疑義があるものと考えます。また、法に基づく政令委任や予備費などで措置可能であることから、必要性にも乏しいものと考えております。
 以上で私の発言を終わります。

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