参院特委で宮崎氏が質問
迅速な対応も可能に 宮下参考人
参院消費者問題特別委員会は9日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害防止・救済法案(新法)などの参考人質疑を実施し、公明党から宮崎勝氏が質問に立った。意見陳述で中央大学大学院の宮下修一教授は配慮義務を怠った場合に勧告や公表ができるように変更した点に関しては、「行政措置の強化により、(配慮義務の)順守義務の実効性を高める」と述べた。これに先立つ一般質疑では公明党の安江伸夫氏が質問を行った。
意見陳述で宮下教授は、配慮義務規定の表現が「十分に配慮」と衆院で修正されたことについて「配慮義務の程度を一段と高めて厳格にしたものと評価すべきだ」と述べた。その上で、法律の内容を分かりやすく丁寧に説明する必要性を指摘した。
さらに、今後は制定された法律の具体的な運用状況を踏まえた上で、「必要に応じて見直しの検討が必要だ」と強調。法案修正で施行後3年をめどとしていた見直し規定を2年に短縮したことは、「迅速な被害者救済に向けた対応を可能にする」と評価した。
質問に立った宮崎氏は、法案に関し、被害防止・救済の実効性と、正当な寄付勧誘への過剰な規制を避けることとのバランスを図ることへの認識をただした。宮下教授は、法案が寄付を勧誘する全ての法人などを対象にしていることから、「踏み込み過ぎることは過剰な規制につながりかねない」と指摘した。
一方、宮崎氏は今後の被害防止の観点から、「消費者ホットライン」を含む消費生活センターの周知に関して見解を聞いた。全国消費生活相談員協会の増田悦子理事長は、消費者ホットラインに関して、霊感商法などの問題も受け付けていると指摘。その上で、「(同ホットラインの)認知度が低い。周知徹底をしてもらいたい」と述べた。
借金の資金調達禁止規定
過度な寄付要求されず
消費者庁、安江氏に
参院消費者問題特別委員会の質疑で公明党の安江氏は、被害防止・救済法案に盛り込まれた禁止規定のうち、借金などの資金調達要求を禁じる規定について「(寄付で一律に)上限規制を設けるよりも、より柔軟に対応でき、多くの被害を救済できるのではないか」との考えを強調し、政府の見解をただした。
消費者庁側は同禁止規定に加え、配慮義務でも「寄付者やその家族の生活の維持を困難にすること」がないよう求めており、「過度な寄付の要求がされないようになると考えている」と答えた。
また安江氏は、配慮義務規定が公布日から短い期間で施行されることから、NPO法人などが行う健全な寄付勧誘に萎縮効果が及ばないよう、対応を要請。消費者庁側は「通常のNPO法人であれば寄付勧誘に支障はない。速やかに周知する」と述べた。
一方、安江氏は、消費者契約法改正案で取り消し権の行使期間を最長10年とし、施行時に時効が完成していない被害にも適用されることから、「より多くの被害者を救える」と主張した。