休・退学 断じて防ぐ!
一刻も早い支給へ予備費活用
「今は“通常”時でない」と説得、政府動かす
困窮学生に最大20万円
公明がリードした主な学生支援策
●困窮する学生に最大20万円の給付金
●修学支援新制度(高等教育無償化)で、家計が急変した学生に対応
●各学校独自の授業料減免に国が支援
●日本年金機構などで学生を臨時雇用
突破口を開いたのは公明党の緊急提言だった。幹事長の斉藤鉄夫と文科部会長の浮島智子(衆院議員)が同8日、他党に先駆けて給付金創設を萩生田に要請。ここから政府や与野党による検討が一気に進み、閣議決定につながったのだ。
緊急提言の背景には「コロナ禍で収入が減り、生活が苦しい」「休学や退学を考えざるを得ない」といった学生たちの切実な声があった。公明議員は、青年委員会によるオンラインでの「ユーストークミーティング」などを通して一人一人の窮状を聴いていた。
「学業を断念して夢を諦めるようなことは、断じて防がなければならない!」。この思いを胸に、公明党は、浮島や学生局長の安江伸夫(参院議員)らが4月20日と5月1日に萩生田を訪ね、支援強化を重ねて申し入れるなど、政府が財源確保も含めて本腰を入れて迅速に取り組むよう、党を挙げて粘り強く働き掛けた。
これに呼応したのが首相の安倍晋三だった。4日の記者会見で学生支援に言及したのだ。「与党における検討を踏まえ、速やかに追加的な対策を講じる」
公明党は即座に、収入減に対応する給付金の具体化へ作業を進めた。苦境にある学生に一刻も早く支給を――との考えから、新たな補正予算の編成ではなく、既に4月末に成立した今年度第1次補正予算の予備費を活用するよう求める緊急提言を作成。大型連休が明けてすぐの5月8日に提出した。
闘いはさらに続いた。党代表の山口那津男は安倍との電話会談で、学生支援の早期実施を迫った。また浮島は、予備費の支出について政府側から「閣議決定に持っていくまでに通常は2、3週間かかる」と言われたが、「今は“通常”の時ではない」と押し返した。
この結果、政府は19日、予備費から約530億円を支出して学生への現金給付を行うと決定。無料通信アプリ「LINE」による迅速・容易な申請も浮島の提案で実現し、29日から支払いを開始した。支給件数は7月14日現在で約24万件となり、さらに増える予定だ。
本紙6月20日付で日本大学の末冨芳教授は今回の給付金について、公明党の推進で今年度から始まった低所得層向けの高等教育無償化という「土台」があったから実施できたと指摘。その上で、こう語っている。「公明党の姿勢は、最も困難な状況にある子ども、若者に寄り添うということで一貫している」(敬称略)