障がい者の生活を支える
補助犬法、公明が制定リード(髙栁)
人権守るのが政治家の使命(安江)
愛知県長久手市に介助犬総合訓練センター「シンシアの丘」が開所して今年5月で10周年を迎えます。センターを運営する社会福祉法人・日本介助犬協会専務理事の髙栁友子さんと、青年弁護士として庶民のために奔走してきた安江のぶお氏(公明党参院選予定候補=愛知選挙区)に、障がい者の生活をサポートする介助犬の現状や課題について熱く語り合ってもらいました。
対談 日本介助犬協会専務理事 髙栁 友子 × 公明党青年局次長 安江 のぶお
安江のぶお 介助犬総合訓練センターが全国初の専門訓練施設として2009年に開所して以来、これまでの献身的な活動に心から敬意を表します。
髙栁友子 ありがとうございます。介助犬総合訓練センターでは、介助犬の育成と普及に携わる訓練士を養成するほか、ユーザー(利用者)が宿泊しながら介助犬と一緒に訓練を行います。
当協会発足後、51頭の介助犬が認定され、うち21頭が実際にユーザーの生活をサポートしています。
安江 医師である髙栁さんが、介助犬の普及に関わるようになったきっかけは何ですか。
髙栁 もともと子どもの頃から犬や猫が大好きでした。医科大学時代、留学先のアメリカで、障がい者を支える介助犬と初めて出会い、「医学を学ぶのをやめ、この分野に進みたい」と思うほど感動しました。
その後、日本で医師をめざす友人たちに介助犬のことを話すと、「感染症の心配はないか」「人をかんだりする危険はないか」など、否定的な印象を持つ人が多いことにショックを受けました。
こうした中で、アメリカの介助犬ユーザーで看護師の女性から「こういう福祉分野は、あなたのような医師がやらなくてはいけない」と助言され、医師の立場から介助犬の普及に取り組むことを決意しました。
安江 それが原点だったんですね。私の場合は高校時代にあります。進路指導の一環で弁護士から話を聞く機会があり、「社会の中の不条理や不合理に立ち向かい、人権擁護の最先端を行くのが弁護士だ」との言葉に感銘を受けました。
その後、大学で法学部に進み、奨学金を受けながら法科大学院に通い、多くの方々の支えのおかげで司法試験に合格することができました。弁護士になってからは、認知症などで判断能力が不十分な人の権利を守る成年後見制度の利用促進や、親族間の金銭トラブルに巻き込まれた高齢者の相談支援などに携わってきました。
髙栁 自分たちがより良い社会をつくろうとする時、法律はその具体的な行動を支える裏付けになります。人が立ち入ることのできるさまざまな場所での補助犬受け入れを義務付けた身体障害者補助犬法もその一つです。
介助犬の問題を国会で初めて取り上げてくれたのは公明党でした。1998年に大野由利子衆院議員(当時)が「『介助犬』の公的認定と普及促進に関する質問主意書」を政府に提出したことが、補助犬法制定のきっかけです。
安江 補助犬法が成立した日、補助犬普及の象徴的存在であり、訓練センターの名称にもなっている犬の「シンシア」が参院本会議を傍聴した関係者、公明党議員と一緒に写っている写真が、翌日の公明新聞に載っています。
公明党は結党以来、一貫して「大衆とともに」との立党精神を堅持し、小さな声をカタチにしてきました。今まで頼るところがなく困っていた人に光を当て、その人権を守っていくための法律を作るのが政治家の使命だと思います。そのために、参院選に出馬しようと決意しました。
髙栁 補助犬法の施行後、各都道府県の障害福祉課に電話をすると、担当者がきちんと配置されていて、法律ができる意義の大きさを改めて実感しました。
安江 髙栁さんたちのように現場で苦労されている方々の思いをくみ取っていかないと、庶民を守る“心の通った法律”は実現しません。私も現場の声に徹して耳を傾ける一人でありたいと思っています。
介助犬とは
物を拾って渡したり、着脱衣の介助を行うなど、手や足の不自由な人の生活をサポートする犬。目の不自由な人の歩行をサポートする「盲導犬」、耳の不自由な人に音を知らせる「聴導犬」を加えて「補助犬」と総称され、2003年に全面施行された身体障害者補助犬法に基づき、訓練・認定される。
たかやなぎ・ともこ 名古屋市出身。愛知医科大学卒。東京医科歯科大学大学院博士課程修了。医学博士。社会福祉法人・日本介助犬協会の専務理事として、介助犬総合訓練センターを拠点に活動。横浜市総合リハビリテーションセンター非常勤医師。2児の母。52歳。
やすえ・のぶお 名古屋市出身、知多市在住。党青年局次長、同中小企業活性化対策本部事務局次長。愛知県立半田高校を経て創価大学卒。同法科大学院修了後、弁護士として庶民を守り抜くために奔走してきた。愛知県弁護士会高齢者・障害者総合支援センター委員。31歳。