2月21日に公明党学生局が政府に行った政策提言と、同19日に初の国家試験が行われた「愛玩動物看護師」について解説する。
党学生局の政策提言
高等教育無償化の対象拡大や大学院生、留学希望者への経済的支援の拡充、通教生の就活支援など切実な声届ける
Q 公明党が学生の声を政府に届けたそうだが、どのような内容なのか。
A 公明党学生局（安江伸夫局長＝参院議員）は2月21日、永岡桂子文部科学相に対して重点政策提言を手渡した。提言は、「誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて」と題し、学生らから寄せられた声などを基に構成されている。
提言の柱の一つは、経済的負担の軽減だ。給付型奨学金や授業料免除による高等教育無償化の対象を、中間所得層の多子世帯や理工農系の学生まで拡大するよう要望。また、修士・博士課程をめざす学生が研究に専念できる支援や若手研究者に対する任期なしのポスト拡充、海外留学を希望する学生への給付型奨学金制度の充実などを求めている。
Q 学生を取り巻く環境は多様化しているため、きめ細かい支援が必要だ。
A この点は提言でも重視しており、これまでにない視点の要望も盛り込まれている。例えば、高校卒業後に通信制大学に進学した学生が、就職活動の際に通っている大学のキャリアセンターを使用できない事例や、就職面接時に通学生とは異なり学生生活でアピールできる点が少なく苦労している現状などを指摘。通教生に対する就職活動支援の実態把握や改善を訴えた。このほか、視覚などに障がいがある学生への資格試験の配慮、教員の働き方改革による授業の質向上なども政府に促している。
Q 提言をまとめるに当たり、公明党は学生の声をどのように集めてきたのか。
A 党学生局は、学生と公明議員との懇談会「Qカレ＝Question meeting of college students」を2017年から開催している。Qカレでは、大学生らが抱える悩みや疑問に公明議員が直接答えるとともに、学生の切実な声を基に政策をまとめ、政府に届けてきた。今回の提言も、Qカレで寄せられた学生の生の声が中心になっている。
こうした取り組みにより、これまでも返済不要の給付型奨学金の創設や奨学金返還支援の充実、コロナ禍で困窮した学生への10万円給付、ネット上の誹謗中傷対策の強化など多くの政策を実現してきた。公明党は、さらに学生支援に全力を尽くしていく。
愛玩動物看護師
初の資格試験が実施され、4月に免許登録へ。獣医療の高度化や適正な飼育方法の普及に貢献。公明党が法整備をリード
Q 「愛玩動物看護師」の初試験が行われたと聞いた。
A 愛玩動物看護師は、“ペットの看護師”とも呼ばれる新たな国家資格で、2月19日に全国で初の試験が行われた。今月17日に合格者が発表され、4月には免許登録が行われる予定だ。獣医療に欠かせない動物看護師に公的な資格を付与することで、医療の質向上が期待されている。
Q 試験を受けるには。
A 特定大学で指定科目を修めて卒業するか、都道府県知事が指定した養成所で知識や技能を学ぶ必要がある。ただ、2027年4月末までは特例措置で、既卒者や在学生は国指定の団体が実施する講習会に参加すれば受験資格が得られる。さらに、勤務看護師として5年以上の実務経験がある人は、今年11月から行われる予備試験の合格などを条件に受験資格が得られる。
Q 愛玩動物看護師は、どのような役割を担うのか。
A 動物病院でペットを診療する獣医師を補助する役割だ。対象は、犬や猫のほか政令で定める動物としてカナリアなどの愛玩鳥も含まれる。従来の動物の世話といった業務だけでなく、獣医師の指示の下で一部の診療行為ができるようになる。具体的には採血や投薬のほか、迷子・遺棄防止のために22年に義務化されたマイクロチップの挿入などが挙げられる【表参照】。このほか、動物に関する学校での教育や高齢者施設でのセラピー活動、高齢者への飼育支援なども期待されている。
Q 国家資格化の背景は。
A 農林水産省によると、犬や猫など小動物の診療を行う獣医師は約1万6000人いる一方、ペットの長寿命化や獣医療の高度化・多様化で獣医師の負担増加が課題になっていたほか、適正な飼育方法の普及推進の必要性が指摘されていた。公明党は、獣医療の質向上や動物看護師の処遇を改善するため、国家資格化の必要性を国会質問で繰り返し主張。関係団体と意見交換を重ねてきたほか、超党派議員連盟でも法案作成に尽力し、19年6月の愛玩動物看護師法の成立をリードした。
