議事録
第217回国会 参議院 議院運営委員会 第4号 令和7年2月4日
安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
早速ですが、質問をさせていただきたいと存じます。ちょっと後半のバッターになりますので少し先ほどの委員の先生方とも趣旨が重複するところもございますが、ちょっと新たな視点をできれば付加していただければ幸いに存じます。
まず初めに、この度の検査官への就任を打診された際の御心境と、並びにお引き受けになった理由ですね、決意とも言い換えることができるかもしれませんが、改めてお答えいただければと思います。
参考人(田中淳子君) 御質問ありがとうございます。
まず、打診を受けたときの心境ということですけれども、非常に驚きました。それに尽きます。と同時に、会計検査院の使命と役割につきましては、報道に携わる者としてかねてより敬意を持って注目しておりましたので、このような重責を託していただいたということを大変光栄に感じました。
なぜ引き受けたかという理由でございますが、まず、会計検査院、そして検査官の使命が明確で大変共鳴できるものであったということです。また、会計検査院の使命である行財政のチェック機関、国民の知る権利に応えるという機能が、先ほども、繰り返しになって恐縮ですけれども、メディアの役割と相通じるものがあるなというふうに感じ、これまでの取材や情報分析の知見が生かせるかなというふうに感じました。私にとっては思ってもみなかったミッションではございますが、何かこの点と点がつながったような気がして、この目指しているところはこれまでの延長上にあるような気がしまして、挑戦してみたいというふうに感じました。
個人的には、前々から定年退職後はこれまでの経験を生かして何か公共的な分野で社会貢献的なことをしたいというふうに考えておりました。この定年退職後の半年、これまでの御縁ですとか新しい出会いもありまして、様々新しいことに挑戦している時期でございました。その中で、このように、まさに公共的な分野で非常にクリアな、明確なミッションを与えていただいたということで、これは有り難いことだなというふうに思っておりますし、仮に国会の御同意がいただければ、その期待に応えられるように全力を尽くしたいというふうに考えております。
安江伸夫君 ありがとうございます。田中候補の強い思いが伝わってまいりました。
その上で、ほかの委員の先生方も御質問されておられますが、やはりジャーナリストとして長らく活動されてきたというところに期待がされているかというふうに思っております。とりわけ国際的な視点というところが特に生かしていけるポイントではなかろうかなというふうにも思っております。
そこで、いわゆる国内のジャーナリズムだけではなくて、幅広く国際的な視点で長らく報道に従事をされてきたということが、とりわけこの会計検査院の検査官としてどのように生かしていくことができるかという文脈でお伺いをしたいと思います。
参考人(田中淳子君) 国際的な視点をどういうふうに生かせるかという御質問で、大きく二つ述べさせていただきたいと思います。
まず、世界の中で日本を引いた目で見たとき、私見ですけれども、人口減少など様々な課題はあるものの、技術力や人材そして文化など、強みや魅力もたくさんあるというふうに思っております。私は、日本にはまだまだ潜在力があるし、今、世界で分断とか対立が深まっている中で、日本に果たせる役割というのがあるというふうに期待しております。
その潜在力を引き出すために、行政の力それから官民連携というのが重要な要因であると思うんですが、その政策の裏付けである予算が効果的に使われているか、有効に使われているかという点が非常に重要になっているかと思います。その議論や検討のベースとなるのが、この予算がどのように執行されているかというファクト、そしてその分析になるかと思います。まさにそれを提示するのが会計検査院というふうに私の中では捉えております。
仮に検査官に就任した場合は、そうした大きな視点も踏まえて、戦略的な検査というのを組み立てていくことに貢献したいと考えております。
もう一点は、国民目線に立ったとき、納税者に対する説明責任が十分果たされているかという課題があるかと思います。
例えば、アメリカでは、日常的に納税者としてというフレーズを聞きます。納税者が税金の使途について知る権利、そして改善を求める権利意識が非常に強く、それに対して政府も、アメリカ政府の場合はGAOという機関がございますけれども、非常に大きなリソースを投じて対応しております。
もちろん国によって事情は違いますが、政府の説明責任、アカウンタビリティーが増すほど、長い目でその国民との信頼関係が増すというふうに考えております。その意味で、海外の例も参考にしながら、国民に対する分かりやすい情報の仕方というのを探っていきたいというふうに考えております。
安江伸夫君 ありがとうございました。
続きまして、やはり、メディアでの経験を生かした広報に精通しているということもやはり検査官としても期待されているポイントであることは、他の委員の先生方も御指摘されたとおりでございます。端的で結構ですので、広報に関しての候補の意気込みと、また、会計検査院の活動を広報する、広く国民に知らしめていくということの意義や重要性についての考えをお伺いしたいと思います。
参考人(田中淳子君) ありがとうございます。
これまでの答えと若干重複してしまいますが、広報といってもいろいろ広くございまして、まず一義的には国民の代表であられる国会に、正しい、そしてその議論に資するような充実した報告をするというのが一つあると思います。それ、もちろん会計検査院全体の使命ではございますが、その報告書の書き方ですね、どこにフォーカスをしてどういうふうに分かりやすく充実した報告書にするかというのも、広い意味で私は広報の一部、一部といいますか、一番大切なところかなというふうに思っております。
それに加えまして、やはりその財政民主主義を支える国民、国民が自分たちの税金がどのように使われるかということを知ることが健全な財政民主主義の一つの要素かな、ベースになることかなというふうに捉えております。そこに必要な情報を提供する、分かりやすく提供するということではまだまだ改善の余地があるかなというふうに考えております。
私、まだ外から見ている立場ではございますけれども、仮に検査官に任ぜられた場合は、現在いろいろと広報強化の取組も進めていらっしゃるというふうに聞いておりますので、その状況を確認した上で、更にどんなことができるかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
安江伸夫君 ありがとうございます。
今お話しいただいたとおりです。まず、今、外で見てきていろいろ問題意識、課題があるという思いを語っていただいたところでございますので、それを純粋に、この検査官に仮に同意されたとしたならば、最大限にその外の視点を生かした活躍を期待を申し上げるところでございます。
もう最後にさせていただきます。
やはり、情報分析、組織マネジメントに関しての高い識見というところも期待されている点の一つと伺っております。会計検査院という組織を捉えたときに、組織としてのまさに問題意識や改善していくべきだと思うところがあればお答えください。
参考人(田中淳子君) 私がこれまで心掛けてきたことは、まず報道の仕事では、第一に正しい情報、それから信頼できる分析を届けること、そして、その届ける、伝える際に広い視点と現場感覚、その両方を持ち合わせることを大事にしてまいりました。組織マネジメントの観点では、与えられた使命を遂行するためにメンバー一人一人が最大限の力を発揮する、それが組織の総力をアップすることにつながるというふうな思いでやってまいりました。こうした経験とそこで得た知見、それを生かしていければなというふうに考えております。
繰り返しになりますけれども、取材者としてだけではなくて監修者として、またマネジメントで得た知見とか経験というのは、その検査官会議という高い視点から、俯瞰した視点からその情報、多岐にわたる情報を分析して、皆様の国会での御審議、あるいは国民の知る権利に応える情報という、分かりやすい情報の形にしてお届けするという、その大事な役割と重なるところがあるかと思っておりますので、そこに注力してまいりたいというふうに考えております。
安江伸夫君 終わります。